三枝大地
Daichi Saegusa
プロバレーボール指導者
今どんな活動をされてますか?
ひとつはバレーボールの指導で、女子U18代表の監督と女子U20代表のコーチをさせてもらっていて、ちょうど(インタビュー)3日ぐらい前に帰ってきました。
タイでのU18アジア選手権、カザフスタンでのU20アジア選手権、共になんとかなんとか優勝して、アジア選手権アンダーエイジカテゴリー2冠を達成することができました。
もうひとつは、吉本オガール地方創生アカデミーという会社が手がける、岩手県紫波町での地方創生のプロジェクト、ノウルプロジェクトの立ち上げに関わっています。
ノウルプロジェクトのノウルっていうのは、農業の農からとって“農る”っていう造語でなんですよ。
農業や林業、経営実践を通して、地元の方々から学びをいただきながら、通信コースの学校に通い、高校卒業単位を取得できる、ハイブリッドな学びの場です。
通信コースは、最近はトップアスリートなども活用しているケースが多く、世界を飛び回りながらオンデマンドで授業を受けたり、レポートを提出したりしながら、自由に競技へ時間を費やすことができるというメリットがあるんです。
そこで、ノウルプロジェクトでは、通信コースのメリットを活かして、実際に農業や林業、事業経営を体験したり、自分たちで作ったものを加工、販売したり、経営面も含めて実践的な学びをしていきます。
それにより、地方創生を進めていくリーダーが育つとともに、地域の産業を盛り上げ、新たな地域の活性化の道を探していく。学生の段階から学んで実践しながら3年間で即戦力となるような力をつけて社会に出ていく。もちろん、その先また学んでも良し。そんな可能性を広げる機会になる場所です。
その先は、農業、林業、経営だけでなく、スポーツもあってもいいと思いますし、バレーだけじゃなくていろんなもの。それこそNBWコースみたいのもあっても面白いと思うんですよね。
そういうのがもっと低い年齢から当たり前になってほしいなって思うんですよね。
今はスポーツをしてても、残念ながらバレーボールやってたらバレーボールだけなんですよね。でもそうじゃないのが当たり前になってもらいたいなってすごくあるので。
だからそういう場を将来的には作りたいなと思いますし、そこにいろんな方に関わってもらって、それがそんなんでもいいんだ、むしろそっちの方がいいやんか。みたいに感じてもらえたら嬉しいなと。
勉強=詰め込みじゃなくて、勉強=学びと体験っていうか、それこそが学びだというような、そんなものがもっともっと進んでいくような場所にしたいなっていうところですね。
どうやって今の三枝大地が生まれたか、きっかけの出来事がいくつかあると思うんですけど、その辺りを聞かせてもらえますか?
それはもうめっちゃ自分でも探してて。
今見させてもらっている選手たちは、すごい能力あるんですけど、でもそれを生かす中で、一番は認められる経験・体験っていうのが、ちっちゃい頃特にすごく大事で。
上手くいこうがいかなかろうが、やってみたらいいっていう、その体験をさせてもらってたっていうのが多分自分の一番の強みなんですね。
例えば、ちっちゃい頃屋根の上で稲を育てたりとか。
「自分の食べるものは自分で育てたいんや」、「稲を育てたいんやお米を育てたいんや」って言って親父に相談して、
親父「育てたらええやないか、何がいるねん」って言われたんで、
「入れ物と土とそれから光と水と」って言ってたら、
親父「それじゃあ家で一番日が当たるとこどこやねん」って言われたから、
「屋根の上」って答えたら、
親父「ほな屋根の上で育てたらええやないか」って言われて。
毎日屋根の上に登って。でも屋根の上になって普通階段とかついてないじゃないですか。
だから家と家の間から忍者みたいに這って登って、その後に水やりのホースを渡してくれてたのが親父だったんですよ。
だからそういうのを否定されるんじゃなくて、やってみーっていう、氣つけやって言われて、後はやらしてもらえるっていう、そういう経験がとても大きかったと思います。
そのベースにそれを認めてもらえるか。
それをやらしてもらえる経験があった上で、高校から大学に行く時もそうだったんですけど、元々決まっていた大学があって、けれど、3月末に一番行きたかった大学から補欠合格の通知が届いて。
どっちに行くんやと聞かれたから、既に入学金なども振り込んでもらって、住む部屋まで決まっていた状況だったので、
「決まっていた大学に行くで」って答えたら、
「いやいやお前がほんまに行きたいとこ行かな俺が後悔すんねん」って親父に言ってもらって。
それで東海大学に行かせてもらってるので、そうやってチャレンジさせてもらったっていうことが自分の人生で一番大きなポイントなんだろうなって思いますね。
その後、そういうことも踏まえて、例えば東海大でめちゃくちゃ下手くそやのに、トップの所に触れさせてもらって、結局そういうところでやろうとしてたら、
下手だろうがなんだろうが周りの環境にいる見ているものが自分の中で当たり前になってくるっていうのか、当たり前というものがどんどん変わっていって、そこが書き換えられることによって自分のできるっていうレベルが変わってくるということはすごく大事やったなと思います。
日本一になるって東海大行って、選手としてではなくマネージャーとして日本一を経験させてもらって、その後バレーは目標達成したので、離れて一般企業に勤めていたんですが、たまたまご縁をもらって、アフリカに青年海外協力隊のサポートで行かせていただき、そこでの衝撃、感動から次は試験を受けてチリに青年海外協力隊で行かせてもらいました。
その活動の中で大きかったのは、当たり前と自分が思ってたことを全否定される。
体育館で唾吐く選手がいて、何すんねんと思ったら、そもそも土足やし、床滑るし、滑り止めやったとか、自分の見てる世界の外から投げ込まれてくるものがめちゃくちゃあって。
だからこそ、自分の持ってるもの、考えている価値観が正しいって思ってたらすごい狭い世界で、井の中の蛙やなっていうのを感じた時に、
そもそもそれを知れば知るほど自分の見えるものも広がるし、その中で色んな文化背景、全部知った上で最終的にどう判断するか向き合えればいいなと思ったので、今自分が思ってることが正しいっていうのはやってみないと、行ってみないと分からないっていう根底をそこで作ってもらったのがすごく大きなところですね。
後は色んなところで出会う仲間、人ですね。
人のご縁。
場所とか環境っていうのもそうですけど、どんな人と過ごすかっていうことによって、その人その方々に見えるもの、自分の見えない世界を見せてもらってるっていうところがすごくあるので、やっぱりご縁が大きいと思います。
NBWに出会ったきっかけを教えてください
きっかけはリー先生と北海道の合宿でお会いさせてもらった時に、吉田さんの存在やされている事業のお話を聞かせて頂いて、その後連絡を取り合って、直接お会いしてそこで体感をさせてもらいました。
最初の感想は、なんやこのわけわからん世界は…
でもわけわからん世界やって言いながらも、身近にも見えないものが見える人がいて。
要は人間って目に見える可視光線っていうのは限られてるし、人間の耳で聞こえる音の範囲もあるといいますよね。
結局見える感じる聞こえるとかっていうものが全てじゃないっていう中で、そりゃそんなものもあるわなっていう中の一つとして、わぁ、すごい世界があるなぁと思いながらも、すんなり受け入れられたというか。
そもそもプラスでもマイナスでもなくその真ん中の本来あるべき所って言うんですかね。
その感覚が自分でもそうだろうなと思っていて、すごく腑に落ちる部分だったので、それを形にして表現できる人がいるんだっていうのが正直衝撃でした。
NBWに出会ってご自身にヒントや気づきになったこと、選手たちにヒントになったことってありますか?
いくつかあるんですが、一つは人間の左と右は違うというところです。自分の中で衝撃でした。
自分の経験の中で、右のスパイクを打ってて肩を痛めた時に、鏡を見ながら反対の動きをしたらいいなと思って、左を打てるようになったんですね。
でもどこか違うと感じてたんです。右と左の動きのスムーズさが違うとか、角度違うとかっていう違和感を感じていた中で左右の違いを聞いて、そりゃそうだ。
左右対称ちゃうもんなっていうのを、より実感・体感させてもらえました。
あと背骨に手を触れて、力みなく動けるようになった経験も印象的でした。
あとは(相互循環で)誰かのケアをするっていうんですかね。
その時に自分のエネルギーを誰かに渡すんじゃなくて、同じ周波数でやればやるほどどっちもゆるむっていう、それが結構自分の中で衝撃的でした。
もちろんその上で大きかったのは、禮法ですね。
これは今回U18もU20も大会の時にやらせていただきました。
選手たちも感じてくれましたし、何より会場に応援に来てくださっていた方にも届いたっていうのが大きかったです。
日本の人たちがそういう振る舞いというのか、多分エネルギーを送ってることによって、会場からのサポートっていうのがめちゃくちゃ大きくて。
結局、アウェイでもどこにいてもホームのような環境になるんだと今回すごく感じました。
それは間違いなく、そういったところからきてると思います。
三枝さんはこれからどんな可能性を見つけて行きたいですか?
そうですね。一つは様々な取り組みがもっと広がればいいなと思うんですけど、ただ押し付けていきたくはないので、そういうものを体験できる場を増やしたいなって思います。
その一つがこの岩手の取り組みであり、その発信できる一つが代表という場であり、色んなものや場を借りながら、よりスピード持って進めていけたらなと思っています。
このコロナによって色んなものが制限されましたが、一方で色んなものがスピードが上がったとも思うので、そのいいところをもっと活用しながら、この先にできることをもっともっとスピードをあげてやっていきたいと思います。
あと最終的には兵庫県の地元を何とかしたいっていう思いはあります。
これは理由として全く違うのかもしれないですけど、地元で有名なお祭りがあって、家は商店街なんですね。
その前を屋台がすごい出てて、そこに神輿担いでっていう。
ただ反社の人を摘発して、そういう人が祭りに入れないようになったら、すごい寂しくなったんですよね。テキ屋さんって大体そうじゃないですか。
人が集まる場がそうやって廃れるってめちゃくちゃ寂しいなと思いました。
そういうこともあって本当に人が集まる楽しくて魅力的な街だったり、人だったり、そういう場が増えたらいいなと思いますし、そんなのを作れたらいいなってすごく思うので、ここの地方創生の取り組みを地元に還元できたらって思います。
三枝さんの地元ってどちらですか?
地球です。
もうちょっと絞ると兵庫県の加西市です。
ゴルフ場ばっかりのとこです。山ん中で農業ばっかりです。
ホームページをご覧になる皆さんへ、メッセージをお願いします
NBWでされてることって、一般的にはすごく遠い。
本当はめちゃくちゃ近いことなのに、めちゃくちゃ遠くに感じられていることだと思うんですよね。
本来はそもそも自分の中にもあるのに、なんか外に思われてるのか、遠くて近いものをもっともっと皆さんに感じてもらいたいですし、本来人が持ってるエネルギーっていうものはもっとすごいんやっていうことに気づいてもらいたいです。
そういうところに気づけばみんなもっともっとできるし、可能性あるんやでっていうところに気づくきっかけとして入り口になるのがこのページなんじゃないかなと思ってます。
言い方変かもしれないですが、視野が広がるハブっていうのか。
もしかしたら翻訳ツールかもしれないし、まずは二人に会ってもらいたいですね。