こんにちはNBWの豊田です。
今回は、モヤモヤを大切にすることについてお話しします。
倒れるまで全力疾走
私の20代はそれこそ、
ガンガン行け行け!振り返らず、前へ上へ!!の日々でした。
日常を全力疾走して、大きな成果のみを、出来た事と捉え、日常はそれまでの過程で価値を感じずに駆け抜けていたと思います。立ち上がれなくなるまでノンストップです。
頑張る姿を讃えてくれることが嬉しかったし、痛みや辛さは、目標に向かって頑張っている証と捉えていたし、周りに応え続けられる自分をつくりたかったと思います。
ずっと身体に関わる仕事をしつつも、
今お伝えしている「身体コミュニケーション」とはまた違う世界観ですね。
強制身体コントロール
例えるなら、騎手が自分で、乗っている馬が自分の身体。
身体は今日はどんな調子で、どう走りたいのか、ゆっくりしたいのか?
実際の人と馬の間だったら、自然に行っていることかもしれません。
でもいざ自分の身体になるとそうではなく、目標へ向かって、両者を徹底管理し、少しでもスピードの落ちや怠惰を感じたら、両者に鞭を打ち続けていました。
外側の評価で自分を、さらに自分が身体を「強制コントロール」していたと思います。
そんな若かりし全力疾走の豊田に、
シンプルで力強い疑問を与えてくれたのがドバイでの仕事。30代前半のことです。
土から離れる豊かさ
その仕事は、隣のブースではジェット機やクルーザーの販売がされているような、世界中のセレブと言われる方々が集まる展示会でした。
私が現地で感じたのは、この方向で人が頑張り、豊かさを求めるほど、他の生き物がいなくなり、土がコンクリートになっていく世界でした。
砂漠が埋め立てられ、その上に6車線の高速道路が走り、いくつもの高層ビルが肩を並べていました。
現地で生活する方は、とても真面目で優しく、もっと成長し豊かになるために、毎日一生懸命に働いていました。その姿に尊敬を感じつつも、どんどん地面から離れていく様にも見えました。
(もちろん別の見え方もあって、その時の私にはその視点が必要だったというだけです)
当時の仕事は、今後自分でいくらがんばっても経験できないものだと思います。
本当にありがたい限りですが、それだけではなく、この組織との出会いは人生の1つの分岐点とへと繋がりました。
帰国後、多くの経験を得たと同時に、
20代から消耗し始めていた何かが、いよいよ底を尽きたことを感じました。
気力体力共に、
以前の様に前へ上へは進めずに、ただ自分の中のモヤモヤと向き合うことしかできませんでした。
結果、お世話になったその場所を離れる決意をしました。
「もう一度、日の出とともに目覚めて、日の入りと共に一日を終える生き方がしたいです。」
これが最終的に私から代表にお伝えした答えでした。
何もしない、ただモヤモヤを見守る
その後、農業を通して生命の循環を体現している仲間をはじめ、今の自分に大きく影響を与えてくれている出会いへと繋がっていきました。
そして数年後、NBW吉田先生とも出会い、今に至ります。
ドバイからの帰国後、まだ前へ上へ走れる力が残っていたら、今「身体コミュニケーション」をお伝えしていなかった気がします。
いち早くモヤモヤを解決できていたら、見つからなかった世界でしょう。
動かない勇気
私たちは、ときに潜在的に理想のままに留めつつも、輝かしいことを目指し、努力し続けます。
一方の、悲しみや苦しみや痛みも、なんとか解決しようとします。
現状をどうにかしよう、どうもならないようにと、動きます。
そのモヤモヤが何なのか。
どう変化していくのか、動かずに感じながら見守る。
これが難しい。とても勇気が必要。
そしてここを育む時間が、身体コミュニケーションです。
身体はいつだって、モヤモヤの素「違和感と心地よさ」を駆使して、
こっちがいいよ。それは違うよ。と指し示してくれています。
今お伝えできる立場になって、当時の私はこれを知らず、限界まで行けて良かったのかもしれないと感じます。
でも、身体コミュニケーションのパワフルさを知って、お伝えできる今は、
私の様に、自分の理想に向かって身体を強制コントロールして、辛さを繰り返している人がいるとしたら、必要なタイミングで、身体と共に進む世界をお伝えしたいと思います。
身体と共に歩む世界には、
何歳からでもたくさんの可能性を感じられます。