日々のこと

第3章 わたしであり、わたしではない何かが、自分の中にいる

吉田雅人の身体が教えてくれること

触れられた瞬間、勝手に力が抜けた

Kコーチと離れたあと、わたしは新たな師匠と出会うことになりました。

整体のT先生です。

そこでの体験が、わたしにとっては、人生で最大級の衝撃でした。

T先生が、わたしの腰椎や身体のあるポイントに、そっと触れました。

その途端、

勝手に、余分な力みが外れて、動けたのです。

ここで大事なのは、「勝手に」というところです。

わたしは何も意識していませんでした。 力を抜こうともしていませんでした。

それなのに、自分の意思とは関係なく、勝手に力が抜けて、自分でも見たことがないスイングをしていました。

これまでのわたしは、何年もかけて、力を抜くことを「意識」してきました。

それが、触れられただけで、一瞬で起きた。

わたしであり、わたしではない何かが、自分の中にいる。

そのことに氣づいた瞬間でした。


身体に眠る、進化の回路

T先生に教わったそのポイントは、整体の「調律点」というものでした。

そこから、T先生が発案した「進化体操」を学ぶ中で、わたしはひとつひとつ体感していくことになります。

自分の身体の中には、人間になるまでの進化の回路が眠っている。

魚だった頃、両生類だった頃、四足歩行だった頃。 生命が積み重ねてきた何億年もの動きの記憶が、わたしたちの身体には刻まれているのです。

テニスをしていても、身体が先に動いて、後から「こんなプレーできるんだ!」と驚くような体験が増えていきました。

身体が先、思考が後。

これは、それまでのわたしの常識と、完全に逆でした。


5%と95%

そんな体験を何年も重ねていたある日、知り合いからすすめられた一冊の漫画がありました。

『サイレントナイト翔』という作品です。

そこには、こう書かれていました。

人間脳が5%、人間以前の動物脳が95%。

そしてそれは脳だけではなく、不可解とされているDNAの95%=人間以前の進化の回路である、と。

わたしがT先生から教わり、体感していたことと、この言葉が一致しました。

この5%と95%は、顕在意識と潜在意識の関係にもつながると思いました。

ここで、試合で力が入っていた理由が、ようやく解けたのです。

意識できるのは、自分の想定内のことが起きているときだけ。

自分より格上の相手と対戦すると、想定外のことが起きる確率が上がります。

想定外の瞬間に、人は意識することができません。

だから、いつまでも「意識する練習」だけをしていても、その壁を乗り越えることは不可能だったのです。

足りなかったのは、努力ではありませんでした。

アプローチする場所が、違ったのです。

意識できる領域(顕在意識)は、全体のたった5%。 意識できない領域(潜在意識)は、全体の95%。

これは、思考5%、身体95%とも言い換えられると思います。

だから、無意識(=身体)に、ダイレクトにアプローチする必要があるのです。

あなたがこれまで報われなかったのは、5%の領域で頑張り続けてきたからかもしれません。

残りの95%は、まだ手つかずのまま、あなたの中に眠っています。


今日からできる小さな一歩

今日、寝る前に布団の上で、ゴロンと寝転がって、赤ちゃんのように意味もなくモゾモゾと動いてみてください。

「正しい動き」は一切考えなくて大丈夫です。 身体が動きたいように、動かせてあげる。

それだけで、95%側との対話が始まります。

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