これで立てたらすごいよね
わたしの活動の中で、忘れられない日があります。
難病指定を受けて、首にコルセットをつけ、車椅子で来られた方がいました。
その方が、わたしの開発したシャツを着たときのことです。
その方は、こうおっしゃいました。
「これで立てたらすごいよね」
そして実際に、立って、歩いたのです。
コルセットを外し、自分の足で歩いて、ご自分の荷物を持って帰られました。
ここで注目してほしいのは、わたしが「立ってみましょう」と促したのではない、ということです。
「立てたらすごいよね」という言葉が、その方の内側から、自然に出てきたのです。
『できる』という感覚が内側から湧くから、その言葉になる。
これが、95%の世界の入口です。
着た瞬間、「試したいこと」が溢れ出した子どもたち
あるバレーボールチームの子どもたちに、ウェアを作ったことがあります。
シャツを着た瞬間、子どもたちから出てきた言葉は、「軽くなった」とか「楽になった」という感想ではありませんでした。
「ねえ、これやってみたい!」
試したいことが、次々に出てきたのです。
誰かに「やりなさい」と言われたわけではありません。
内から、発動したのです。
わたしはこの「内から発動する」という状態こそが、人の可能性の扉だと考えています。
「やらなければ」で動くのが5%の世界。 「やってみたい」が勝手に湧いてくるのが、95%の世界です。
そしてこの差は、結果に、とんでもない差を生みます。
95%の世界への、具体的な入口
では、どうすればその扉が開くのか。
シャツのような道具がなくても、今日から始められる方法があります。
それが「身体チェック」と「寝くらげ」です。
身体チェックは、身体との対話の始まりです。
腕回し、もも上げ、身体ねじり、前後屈。
なんでもいいので、いまの身体の状態を、評価せずに、ただ感じてみる。
「右の方が回しにくいな」 「ここで引っかかる感じがあるな」
これが身体の声を「聴く」ということです。
そして寝くらげ。
床に寝転がって、くらげのように、ゆらゆらと無理のない動きを身体にさせてあげる運動です。
ポイントは、「正しくやろうとしない」こと。
身体が動きたいように動かせてあげると、進化の回路が目を覚まし、全身のチームワークが整っていきます。
大事なのは、運動の前後に身体チェックをすることです。
前後の違いを「認識」できたとき、あなたの身体は、もう変わり始めています。
頭で考える「意識」ではなく、身体を感じる「認識」からスタートする。
これが95%の世界への、いちばんシンプルな入口です。
信じるのではなく、検証する
ここで、とても大切なことをお伝えします。
ここに書いてあることも含めて、何も鵜呑みにしないでください。
わたしは8年間のリハビリ難民の時代に、専門家の言葉を鵜呑みにして、言われたことを真面目にこなし続けました。 その結果が、あの8年間でした。
そこから学んだことがあります。
半分信じて、半分疑い、自ら確かめる。
どんなに良いと言われている方法でも、自分に合っているかどうかは、確かめないとわかりません。
教わったことや仕入れた情報は、流行りで移り変わったり、好き嫌いの感情でも揺らぎます。
でも、自分が体感したことは、外側の誰かが何と言おうと、確信につながります。
だからこそ、「検証」が必要なのです。
やる前と、やった後。 何がどう変わったのか。 本当に変わったのか。
それを確かめる手段が、身体チェックです。
ひとりチェックと対人チェック、どちらも必要
そして検証には、ふたつの視点が必要です。
ひとりで行う身体チェックは、主観の検証です。
自分の感覚で、自分の変化を確かめる。
身体との対話そのものであり、誰にも頼らずできるのが強みです。
ただし、弱点もあります。 自分の感覚は、思い込みに引っ張られることがあるのです。
「変わったはず」と思いたい氣持ちが、感覚をつくってしまうことがある。
そこで必要になるのが、対人で行う身体チェック、つまり客観の検証です。
たとえば、相手に肩口を横から押してもらって、安定感の変化を確かめる。
自分のひとりチェックの様子を、誰かに見てもらう。
他者の目と手が入ることで、主観の思い込みを超えた検証ができます。
主観だけでは、思い込みに陥る。 客観だけでは、自分の感覚が育たない。
ひとりチェック(主観)と対人チェック(客観)、どちらも必要なのです。
この両輪が揃ったとき、あなたの体感は、誰にも揺るがされない確信になっていきます。
今日からできる小さな一歩
その場で腕を一回、ぐるんと回してみてください。
そのあと、30秒だけ寝転がってゆらゆらして、もう一度腕を回す。
何か違いを受け取ることができたら、おめでとうございます。
あなたはもう、95%の世界に触れています。
そして次の機会に、家族や友人に「ちょっと見てて」と頼んでみてください。
もし周りに人がいない場合は、スマホで撮影して客観的視点で違いを確かめてみてください。
あなたの変化を、客観的な目でも検証する。
その一歩が、思い込みではない、本物の確信への道です。
※寝くらげ・身体チェックの具体的なやり方は、
電子書籍『パフォーマンスが100倍になる身体の教科書』で詳しく解説しています。
